NEV(新エネルギー車)製造における課題とリスク低減 - EV生産を最適化する革新的ソリューション
電気自動車(EV)への急速な移行は、自動車業界に新たな製造課題をもたらしています。特にNEV(新エネルギー車)の量産化においては、バッテリー組立や高電圧部品の取り扱い、トレーサビリティの確保、工程の自動化といった複雑な要件への対応が求められます。
デソーターは、こうした課題に対し、絶縁ツール、工程管理ソフトウェア、マルチスピンドル締付、リアルタイム位置確認などを組み合わせた革新的なソリューションを提供し、製造現場の安全性・品質・生産性を飛躍的に向上させています。
電気自動車(EV)製造におけるリスク低減と生産最適化
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- NEV製造の課題
- 組立ソリューション
- 今後の展望
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気候変動への意識の高まりや化石燃料価格の上昇を背景に、電気自動車(EV)への消費者需要は急速に拡大しています。これに伴い、自動車業界ではNEV(新エネルギー車)の開発と製造が最重要課題となっています。
国連気候変動会議(COP26)では、2035年までに内燃機関車の生産を世界的に終了するという目標が掲げられました。この目標達成に向けて、手頃な価格のハイブリッド車および完全電動車の開発と量産が急務となっています。
しかし、NEVの大規模生産には新たな課題が伴います。特にバッテリー駆動車では、高電圧への曝露、ショートや過熱、火災などのリスクが存在し、これらを回避するためには新たなスキルと技術が必要です。
EV(電気自動車)の量産化に対応するためには、従来の製造手法を見直し、安全性と品質を確保しながらスケールアップできる新しい組立工程が求められています。
新しい組立工程がもたらす主なメリット
- 多様な環境に対応した新しい締付けアプリケーション
- 高度な自動化とトレーサビリティ要件への対応
- 生産ラインごとの柔軟性を最大化
- 高い生産性で出力を最大化
- 高電圧部品の組立時における作業者の安全性向上
1. NEV製造における課題
NEV(新エネルギー車)は、完全または部分的に電動モーターによって駆動されており、その動力源として数百ボルトの高電圧で動作する大型バッテリーパックを搭載しています。バッテリーパックは数百個のセルで構成されており、各セルは最低でも3.7Vの充電状態で供給されます。そのため、作業者が通電部や危険な電圧に接触する可能性があり、電気事故は電圧・電流の強度・接触時間によっては命に関わる重大な事態を引き起こす可能性があります。軽度な電気ショックであっても、筋肉のけいれんなどを引き起こし、結果として重大な事故につながる恐れがあります。 |
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電気アーク(火花放電)も潜在的なリスクです。2つの電位間の距離が大きすぎると、電圧が意図せず飛び火し、数千度の高温を発生させることがあり、深刻な火傷を引き起こす可能性があります。正しく取り付けられていない部品の接触不良は、アーク発生の一般的な原因であり、正確な組立はリスクを最小限に抑えるために不可欠です。
そして、電気自動車の組立におけるミスの影響を受けるのは作業者だけではありません。組立ミスは、後の走行中に故障を引き起こし、乗員や他の道路利用者、歩行者に危険を及ぼす可能性もあります。溶接、フローパンチ、接着といった工程も、締付と同様に正確に行う必要があります。 そのため、トルクや回転角などの必要なパラメータを安全に維持するだけでなく、組立工程自体が完全に記録され、トレーサビリティが確保されていることが重要です。
2. 組立ソリューション
デソーターのような組立の専門企業は、NEV(新エネルギー車)の製造において、安全性・効率性・柔軟性・トレーサビリティを確保するために、ケーブル式およびWi-Fi対応の多彩な組立ソリューションを開発しています。トルクおよび角度センサーを搭載した トランスデューサー内蔵ナットランナーは、適切な締付パラメーターで接合部を確実に締め付けることができます。
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これらのツールには絶縁アダプターや保護ガードを装備でき、高電圧接点のあるバスバー接続などに最適です。作業者保護を目的としたこれらの製品は、IEC 60900:2018、IEC 60664-1、EN 60745-1に準拠し、Dekra による試験・認証を受けています。 |
品質管理を実現する締付支援プラットフォーム
工程管理ソフトウェア :作業者に対して締付工程の各手順をガイドします。NEVの代表的な用途として、バッテリーパックのカバー固定があります。これは、カバーと下部ケースの間のシール性を確保するために、同期締付が必要です。
作業者支援システム :レーザーガイドとモーションキャプチャ技術を組み合わせ、ポカヨケ原則に基づいたミスのない締付工程を実現します。これにより、ボルトの締め忘れやトルク不足を完全に排除できます。
多軸電動ナットランナー :定義されたトルクでの同期締付を可能にします。例えば、バッテリーパック内のモジュールを均一なクランプ力で固定することで、部品の変形や沈み込みを防止します。自動ボルト供給装置と併用することで、サイクルタイムの大幅な短縮が可能です。
スマートハブ :ワイヤレスツールを組み合わせることで、上位制御システムとの締付データの連携が可能になります。制御システムが次の締付作業に必要なパラメーターをツールに送信し、ツールは締付け結果を返すことで、トレーサビリティとレポーティングを実現します。
ダッシュボードによるデータ分析:ダッシュボードでパフォーマンスや品質を常時監視できます。スマートフォンへのリアルタイムアラート送信も可能。KPIに基づく詳細な分析により、生産傾向を迅速に把握し、継続的な効率改善を支援します。
ビッグデータ分析 :従来は分散管理されていたトレーサビリティデータを統合・分析可能に。メーカーやシステムを問わず、あらゆるレベルの生産データを収集・解析できます。自動レポート機能により、品質や生産に関する複雑なデータセットをいつでも取得可能です。
分析可能な項目例
- 生産ラインまたは部品毎の不良品率 (NOK %)
- 部品または生産ライン毎の平均処理時間
- 生産ライン毎の組立エラー率 (%)
- 工程管理アラート
- ツールのバッテリー切れアラート
- 部品不足アラート
これらを分析することで、生産効率の継続的な改善とコスト削減を支援するだけでなく、高額な製品リコールのリスクを大幅に低減します。
3. 今後の展望
デソーターは、「より良い未来のためのソリューションの一部であり続けること」を使命としています。
自動車業界において、サステナビリティ(持続可能性)は今後も重要な推進力であり続けます。私たちは、電気自動車 (EV) 組立における不良品ゼロと高度なプロセス制御を実現する柔軟な自動化ソリューションの開発に取り組んでいます。これらのソリューションは、作業者の安全性を最大限に確保しながら、全工程の完全なトレーサビリティを保証することを目的としています。
デソーターは、EV製造の変革を支える信頼できるパートナーとして、今後もお客様の生産性・品質・持続可能性の向上に貢献してまいります。